ワイティーキューブの物語

ワイティーキューブの物語

平成15年8月某日。
2人の高校生が私のもとを尋ねてきた。
この何気ないことからワイティーキューブワールドの物語が静かに始まった・・・

これから話すことは、ワイティーキューブワールドという少し変わった塾の誕生秘話である。その中で、私がこの塾にどのような思いを込めたのかを感じて欲しい。 では話を平成15年に戻すことにしよう。

 

私は、物心がつく前から、人とふれあい、大勢でにぎやかにしていることが大好きだった。
そんな私が、数学の研究という“ある種自分の世界に入り込んでいく・・・”そんな営みを深めることをできるはずもなく、次第に興味を失い、ついには数学の研究を趣味へと変更してしまった。
今にして思えば、単に研究者としての才能がなかったのであろう。

『数学で生きていこう!』と考えていたのに、それを辞めてしまった私の人生は、まったくの白紙に戻ってしまった。もちろん、すぐに人生について考えなければならなかった。

・・・・・・・・

そしてこれからの人生について真剣に考え、本を読みあさり、色々調べた結果、私は最難関国家資格の1つに挑むことにした。

平成15年は、その勉強を本格化させたところであった。当然、1年後の合格を目指していたし、自分の人生が取り敢えず形となり始めたところだった。何より真剣に打ち込めるものを見つけたという充実感に満たされていた。

当時の生活費は、学生の頃から続けていた大手進学塾の講師のバイトでまかなっていた。既に結婚していて息子もいたので、贅沢は出来なかったが、3人で何とか困らずに生活することは出来た。

そんな8月のことである。
8月といえば夏期講習真っ只中で、塾業界にとって、入試シーズンと並んで、最も忙しいときである。

中3の難関校対策講座を終え、少ない本当に少ない休憩を満喫すべく私が寛いでいると・・・
その年の3月に中学校を卒業し高校生となった、かつての教え子(塩田歩と大木悠太郎)の2人が、いきなり私を訪ねて来た。
そして、あいさつもそっちのけでいきなり

『ヤマT、高校生用の塾開いてよ!』

と一言・・・
これは非常識極まりない話だ。はじめは冗談だと思っていた。しかし、塩田と悠太郎の熱意は凄まじく、

“ヤマTに塾を開いてもらう運動”

が勃発してしまった。

私は白紙になった人生に、何とか地図を書き込み、やっと動き出しどうにか一つの目標を“達成するぞ!”と決意したところだった。

『また白紙に戻すのか?いや、家族がいる。そんなことできるわけがない!』

『でも、俺を信頼して、助けを求めてきてくれた教え子はどうなる??ここで断ったら男がすたる!!』

『いや、でもこんなに可愛い我が子を路頭に迷わせることはしたくない!』

そんなことを一晩中、来る日も来る日も考えていた。

そしてついに結論が出た・・・

『失敗しないようにやりきればいいんだ!!俺にしか出来ない、超スペシャルな、最高の実績を出すことが出来る塾、そして高校生の人生に、生き方にも大きく影響を与えられる塾を作ってやる!!』

私は“男であること”を選択した。
そう考えた瞬間から迷いは吹っ飛んだ。逆に人生に希望が膨らみ、楽しく感じられた。

そしてそのことを塩田と悠太郎に伝えた。そしてこんな素敵な環境を与えてくれた2人に感謝の意味を込めて、大奮発して焼肉をご馳走した。
2人に私の決意を伝えた瞬間から、私の本当の戦いが始まった・・・

休みはゼロ。もちろん専門学校もやめた。睡眠時間(布団に入れる時間)は毎日2~3時間だった。

まったくゼロからのスタートだ。仲間もいない。教室もない。お金もない。本当に何もない。あるものは、“塾講師としての経験”と“学生時代に全国模試で1位に輝いた数学力”だけだ。

冗談抜きで本当に何もなかったのだが、何とかパソコンとプリンターを用意して、オリジナルの教材を作った。
そして最初の半年間は、公共の施設や、ホテルの会議室を借りて授業をした。
公共施設での授業日には、みんなでイスと机を並べることから始まり、片付けで終わった。
生徒に不便と迷惑を掛けたが、誰も文句を言わなかった。それどころか不思議なほど結束力が硬く、

“YTが最高の塾だと証明しよう!”

そんなことをみんなが思ってくれていた。
そんな生徒たちに支えられていたので、確かに睡眠時間が取れず、フラフラになっていたが、辛いと思うことはなかった。むしろ、生徒の気持ちに応えようという信念がより強固になっていった。

そして半年が過ぎ・・・

平成16年3月。
ついに柏の西口にテナントを借りることが出来た。今YTがあるインシュランスビルⅦ(当時はクリエイティブⅠ)の2階だ。

“YTに専用の教室が出来た!!”

塾に教室があるのは当たり前なのに、

『スゲー!教室だ!!ヤマT凄いね!!』

生徒たちの喜びは物凄かった。YT第1期生が2年生になる3月のことだった。

1期生の入試の時、生徒の合格を最優先に考えていた私は、毎日朝8時~夜中の4時ごろまで仕事をしていたのだが、それがたたり、情けないことに倒れてしまった。
生徒は自分たちの大切な入試があるのに、私の体を心配してくれた。本当に凄い連中だった。
そしてYTの1期生の結果が出たとき、私は嬉しくて涙が止まらなかった。嬉しさではじめて体が震えた。

『YTを立ち上げて本当によかった!』

心からそう思った。

 

あれから色々なことを経験し、今を迎えた。生徒に伝えてきたことは、
『勉強が出来るだけでは不十分。辛いことに自ら挑み、何事もまずは自分で考えるんだ!』
ということが軸となっている。
卒業生が

『YTで高校時代を過ごせてよかった』

とそのようなことを言ってくれるときが、最高に嬉しい。

 

最後に・・・

『学問教育を通し、子どもたちに生きる力を授けること!』

それを徹底的に追求し、物事の本質を見極める目を持った子どもたちを育てるべく、YTキューブワールドはこれからも精進していきます。

YTキューブワールドを私とともに立ち上げ、育て、そして誇って卒業していった教え子たちも、私にそれを期待してくれていますから・・・

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